先月、南沢シュタイナー子ども園の担任教師をしていらっしゃった吉良順子先生に来ていただき「斜め技法の刺繍」を学びました。

講座の始めに「近ごろではたくさんの物にあふれていて、手づくりされた物を使うということ自体がとても貴重なこととなってきていると感じている」、というようなお話が吉良先生からありました。そして、「手づくりされた物を使うことはとても幸せなことですね。その大切な物に、素敵な装飾ができたら嬉しいですよね」と、やさしい口調で語られました。

斜め技法の刺繍というのは、普通の刺繍のように図案があるわけではなく、その「物の用途に合った装飾」をしていくのだそうです。例えば、袋であれば、物をしっかりと受け止めるような形の装飾を、ノートカバーであれば、綴じ目に刺繍をして開く所は開けておくのだとか。

刺繍自体は右上から左下へと線を作り、その線によって面(小さな島)をいくつも作っていくということでした。

この日はノートカバーを作りました。
布と刺繍糸はキットとして配られ、刺繍糸は美しいグラデーションの3色が入っています。一人ひとり、自分の好みのものを選びました。始める前には紙に線を書く練習をし、少しイメージしてみてからのスタートでした。

朝から午後までの数時間、ひたすら線や間隔と向き合い、集中力が必要でしたがリズミカルに糸を通す音が響きわたり、とても心地よいひと時でした。

参加者の方に感想を寄せていただいたのでご紹介します。

途中でみんなの作品を並べてみたところ。それぞれが全く違っていて面白い

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今回の講座で初めて知った斜め刺繍。
吉良先生の「物の用途や構造に合わせて手の動きを包み込むような刺繍を施す」
という説明はすっと腑に落ち、時間を忘れて刺繍の世界に没頭することができました。

右上から左下へ、同じ角度と幅で斜めに同じ法則でステッチを施していくと、海岸の稜線のような有機的な形が現れてきます。
高度な技術は使いませんが、左利きかつ不器用な私にとっては、手の動きが逆になるためになかなかリズムが掴めませんでした。

けれど、濃色、中間色、薄色の3色の
グラデーションの糸で、抽象的なイメージを下描きなしでステッチしていく作業はとても創造的で、モネやドガの印象派の光の表現のようでもあり、芸術性の高い、大人の刺繍だと感じました。

在園保護者 横田千佳子


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斜め刺繍。なんとなく目にしたことはあった気がしますが、それがどういうものなのか習うのは初めてでした。

右上から左下に刺す。間隔は出来るだけ同じ幅で平行に、など大枠の目安の様なものはありますが、決められた図案などはなく、あくまでも刺していく過程でまるでひと針ひと針、針と対話しながら進めていく作業。

網目の数をしっかり数える編み物や、まっすぐ型紙通りに裁断し、線に沿って縫うミシン仕事が苦手な私にとって、この刺繍は大きな決め事の中で自由に泳がせて頂いている気分になり、心底楽しみながら取り組むことができました。

出来上がったブックカバーは、私の落ち着きのなさを表しているかのような不揃いの縫い目たちとなりましたが、自分の分身のようで愛着の湧く大満足な のものとなりました。
まだ中に入れるノートを購入していませんが、これをバッグから出し入れすることを想像するだけでワクワクしてしまいます。

在園保護者 伊藤梓
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初めてちゃんと習いましたが、バランスよく散らばすのがとても難しかったです。
どこに刺したらどういう印象になるのか考え考え進むので、とても集中した楽しい時間が過ごせました。お互いの作品を見せ合って、刺繍したものにそれぞれ個性が表れていて面白かったです。

卒園保護者 福田英子
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この美しい刺繍を初めて知った時、友人が「光の刺繍」と呼んでいて、これは光なんだ!と、とても感動したのを覚えています。そしていつか自分でもできるようになりたいと願い続けていたので、講座が開催されることを知った時は飛び跳ねて喜びました。

いざ針を挿し始めると、線の角度が同じようにならなかったり、間隔が詰まってしまったりと思うようにはいきませんでしたが、それはそれで「今の自分」であるような気がして、受け入れようと思えました。先生にも何度も質問させていただきながら、楽しい時間を過ごさせていただきました。今度は娘の新学期に必要な物に装飾をできたらと思っています。

在園保護者 松山ちかこ